電気製品の安全性を証明する「PSEマーク」「Sマーク」とは?
普段使っている電気製品に、こんなマークがついているのを見たことはありませんか。これらは、一定の安全基準を満たすことが確認された電気製品に表示されているマーク。気をつけなければ思わぬ事故につながる可能性もある電気製品を、消費者が選ぶ際の一つの安全安心の指標となるものです。
No More不良品!安全性認証マーク成り立ちの経緯
電気製品の安全性に関する制度は、現在の経済産業省や総務省にあたる逓信省が制定した「電気用品試験規則」から始まったといわれています。その後、昭和初期には「電気用品取締規則」が制定され、製造事業者や輸入事業者には電気試験所で製品の安全性の試験を受けることなどが義務づけられました。
戦後の高度経済成長で人々の暮らしが豊かになると、家電製品が各家庭に普及。その一方で不良品が横行したため、行政機関が製品の安全性を確認する「電気用品取締法」が制定されました。ですが、その後も世の中の家電製品の普及が進むにつれ、事故の発生率が増加。法令の対象製品は徐々に増え、電気製品は政府の認可を要する「甲種電気用品」と、事業者自身で安全性を確認すればよしとする「乙種電気用品」の2種類に分類されました。また、各製品には分類に従って以下のマークの表示が求められるようになりました。
その後、甲種電気用品でも危険性が少ないと判断された製品は、乙種電気用品へ移行されるなどの変遷をたどる中で、乙種電気用品の表示マークが廃止。その一方で、第三者機関が製品の安全性を確認する第三者認証制度「Sマーク」が誕生。さらに平成13年には、旧来の「電気用品取締法」が改正され、「電気用品安全法(PSE)」が施行されました。この法律は、電気用品による危険および障害の発生防止を目的とするもの。この法律によって、対象の電気用品を製造、輸入、販売する事業者は、適合性検査を受ける等の安全確保とPSEマークの表示が義務づけられるようになったのです。
電気製品購入の際は「PSEマーク」「Sマーク」を目安に
「電気用品安全法」では、対象製品は「特定電気用品(構造、使用方法その他の使用状況から、特に危険または障害の発生するおそれが高い電気用品)」と「特定電気用品以外の電気用品」の2種類に分けられており、現在、457品目の電気用品が対象に指定されています(2021年2月現在)。PSEマークには、菱形と丸型の2種類のマークがあり、前者は「特定電気用品」に対してつけられ、後者は特定電気用品以外の電気用品につけられています。また、すべての対象製品は原則として安全性を自己確認することになりました。このうち特定電気用品については、国に登録された検査機関による適合性検査を受検することが義務付けられています。
一方、国が定める法律によって指定されているPSEマークとは違い、Sマークは第三者機関による認証制度。Sマークの「S」は、Safety(安全)、それを囲う○はGlobe(地球)を表現。第三者機関によって安全性を認証された製品には、このSマークとともに認証機関のロゴマークが表示されます。なお、現在(2021年2月現在)、店頭で販売されている主な電気製品(テレビ、冷蔵庫等)の約7割にこのSマークが表示されています。Sマーク認証は法律で義務付けられているものではありませんが、消費者がより安全性の高い電気製品を選ぶための指標となるものです。
まとめ
粗悪な電気製品による事故がゼロではない社会の中で、消費者自らがより安全性の高い電気製品を選ぶことはとても重要なことです。安全性を認証するPSEマークやSマークの表示をしっかり確認した上で、慎重に製品選びを行っていきましょう。